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身近な生活から医療、環境分野まで幅広い用途で採用されている「フィルターろ過」。この記事ではフィルターろ過の仕組みや用途、特徴や種類についてまとめています。
ろ過対象物である液体やスラリー、蒸気や気体などを、ろ過フィルターや膜などの「ろ材」に流し込み、特定の物質を分離させるのが「フィルターろ過」です。ろ過の仕組みはコーヒーのドリップから大型の廃水処理設備まで、さまざまな分野で利用されています。
フィルターろ過はその手法によって捕集できる物質のサイズが異なり、用途によって使い分けられています。また、目的によって一度のろ過操作で済む場合もあれば、複数回にわたってろ過操作が必要になる場合もあります。
フィルターろ過の仕組みは、フィルターや膜などの「ろ材」にろ過対象物を流し込むと、目的の物質が捕捉されるというものです。
なぜ目的の物質が捕捉できるのかというと、「ろ材」の構造や性質によって、ろ過対象物はこの「ろ材」を通過できるものと、できないものがあるためです。
「ろ材」は複雑な網目状の構造になっていたり、微細な間隙があったり、特定の物質しか通過できない性質を持っていたりします。
例えば、微細な間隙がある「ろ材」を用いた場合、サイズの大きな物質は、「ろ材」を通過できず、「ろ材」の表面もしくは内部に捕捉されます。「ろ材」を通過できた物質だけが、ろ過処理後の液体や気体として回収されます。フィルターろ過ではこのような原理で特定の物質を分離しています。
フィルターろ過の用途には以下のものが挙げられます。
フィルターろ過の用途は、身近なところから先進の科学分野まで多種多様です。
フィルターろ過の用途をご紹介しましたが、様々な分野で課題解決に貢献できることが分かります。それではフィルターろ過の技術をさらに確かめるべく企業の事例を集めてみました。
工業用機械刃物の研磨工程において、研削液内の超硬微細スラッジ除去とその管理が重要な課題でした。これは加工精度と生産性向上、設備の長寿命化、作業環境の改善に寄与します。サンメンテナンス工機製の精密濾過装置とフィルターは、これらの課題に対応し、スラッジの再資源化を含む一貫したサポートを提供しています。これにより、水溶性研削液から研削油への対応や、環境問題に対する柔軟な対応が可能となりました。
ウイルス除去フィルターは、バイオ医薬品からウイルスを取り除くために使用され、その製造過程では高い品質と均一性が必要です。フィルターの製造にはAI技術が導入されており、製造データの分析や品質管理の改善、効率化が目指されています。AIの活用によって、製造プロセスのバラツキを低減し、より一貫した品質の製品を生産することが可能になっています。製造現場の技術者との協力により、この技術革新が進められています。
工場では耐腐食性が高い塩酸液の濾過にメタルレスフィルターを使用しています。このフィルターは完全密閉・全自動で動作し、排水中の樹脂を効率的に除去することで排水処理プラントの閉塞リスクを低減しています。この技術により、作業環境の安全性が大幅に向上し、生産効率も改善されています。金属を使用しないため、酸性液体にも対応可能です。
事例で紹介したように、ろ過したい対象物に応じてフィルターろ過装置の仕様は異なってきます。ここでは分野別におすすめの精密フィルターろ過装置メーカーをまとめました。フィルターろ過装置で自社の課題解決を検討する企業は参考にしてください。
工業用研磨・掘削、工作機械、
資材加工などの分野なら
サンメンテナンス工機
独自の研究開発設備をもち、精密加工を得意とするサンメンテナンス工機。レアメタルなどを回収し、再資源化でコストダウンを図ることも可能。
バイオ研究、医療分野、
精密電子部品などの分野なら
タキエンジニアリング
不純物除去用のフィルターの販売をするタキエンジニアリング。0.02μmの超微粒子や微生物除去など、高いろ過精度にも対応。
エネルギー産業、科学、
食品などの分野なら
日本フィルター
水処理技術の専門メーカーでもある日本フィルター。高温・高圧状態での精密ろ過にも耐えられるフィルターで、幅広い用途に対応。
【選定条件】
前提条件:2024.1.18時点「精密フィルターろ過」でGoogle検索した上位20社を調査
サンメンテナンス工機
→前提条件を満たす企業の中で唯一マテリアルリサイクルができる会社として選出
タキエンジニアリング株式会社
→前提条件を満たす企業の中で最もろ過精度が高いフィルターがある会社として選出
日本フィルター株式会社
→前提条件を満たす企業の中で最も最高使用温度が高い会社として選出
フィルターろ過には、下記の4種類があります。
「粗ろ過」は、大きなサイズの対象物を捕捉するために行うろ過で、フィルターの表面と内部で対象物を捕捉する「デプスフィルター」を使用します。「精密ろ過」「限外ろ過」「透析・逆浸透法」はフィルターの表面で対象物を捕捉する「スクリーンフィルター」を使用します。
「スクリーンフィルター」の種類は、「メンブレンフィルター」「限外ろ過フィルター」「透析膜・逆浸透膜」の3つです。「メンブレンフィルター」は細菌類やウイルスを除去するための精密ろ過で用いられます。表面には微細な穴が開いており、この穴のよりも大きなサイズの物質は通過できません。このため大きなサイズの物質はメンブレンフィルター表面で捕捉されます。
「デプスフィルター」と比較すると間隙が狭いので、ろ過する際は加圧する必要があります。また、捕捉対象物が多すぎるとすぐに目詰まりしてしまうため、あらかじめ前処理用のフィルターでろ過しておきましょう。
「限外ろ過フィルター」は「メンブレンフィルター」よりのサイズの小さい物質を捕捉可能です。ウイルスやタンパク質の濃縮によく用いられます。表・裏があり、対象物を捕捉する面はスキン層と呼ばれています。ろ過する際は必ず、このスキン層側からろ過したい物質を流し込むようにしましょう。
「透析膜・逆浸透膜」は透析や逆浸透法用の膜で、水分子以外のほとんど物質を捕捉できます。海水の脱塩などによく利用されます。
フィルターろ過は、その特性によって身近なところから先進の科学分野まで多種多様な用途があります。ろ過対象物の特性や目的、用途に合わせて適切なろ過フィルターを選ぶことが大切です。
機器から発生するスラッジを、ろ過する装置をクーラントろ過装置といいます。使用用途に応じて様々な製品があるので、『目的にあったクーラントろ過装置か』『スラッジの特性にあった装置か』を見極めましょう。