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クーラント液・ろ過装置がもたらすものは多々ある一方で、継続して使用する際には交換、さらにはメンテナンスも必要になるのでその方法も覚えておきましょう。
珪藻土・カートリッジ・フィルター・ペーパーフィルター・バッグなどを使用するろ過装置はフィルタなどの交換が必要になります。マグネットセパレーターや遠心分離式は「メンテナンスフリー」とされているものもありますが、保守点検は必要となるため、完全にメンテナンス不要というわけではありません。
また、遠心分離などで分離された研削スラッジは定期的に産業廃棄物として処分、およびリサイクルする必要があるため、「導入した後は何もしない」とはいきません。
以下のような兆候や問題が見られたらメンテや修理が必要です。自己判断するのではなく、専門業者への相談をお勧めします。
クーラントろ過装置のポンプやモーターに異常音が発生している場合、部品が摩耗している可能性があり、放置しているとより大きな故障を招く恐れもあります。原因として考えられるのはベアリングです。
劣化、あるいは損傷している場合には交換が必要ですが、シールが損傷していることで異音が発生している場合もあります。この場合、修理・交換にて対応することになります。
クーラントろ過装置のフィルターが詰まった場合、クーラントの流れが制限されることでクーラント内の異物や汚れが除去できなくなります。つまり、クーラントの効果が低減してしまいます。このような場合には掃除が必要です。
使用済みのフィルターを取り外し、フィルター内を掃除して異物・汚れを除去すると、再びクーラントが流れるようになり、正常にろ過がされるようになります。ただし、掃除を行っても問題が解決しない場合には別の原因が考えられます。
クーラントの交換頻度は一概に定義することが難しいです。なぜなら、使用する切削油や切断する材料、頻度、さらには温度や掃除頻度など、クーラントの使用環境によって異なるからです。そのため、自社にてクーラントの状況を確認し、適切な交換頻度を考える必要があります。
設置後、濃度管理・pH管理を行い、その後数カ月のデータを取ることで、クーラントの劣化スピードをある程度把握できます。劣化の速度に応じて交換する頻度を決めるとよいでしょう。
ただし、自社だけで判断するのではなく、ろ過装置メーカーとも相談することをおすすめします。ろ過装置メーカーからのアドバイスと自社のデータを基にして交換する頻度を決めましょう。
クーラントを交換する際、まずはタンク洗浄を行います。タンク内の壁・底板には金属イオンやバクテリアが残留している可能性があるため、タンク洗浄を行うことなく新しいクーラントに交換しても、これらが劣化の原因となって劣化が始まります。タンク洗浄では中性洗剤・アルコールを使用し、汚れを取りましょう。
また、腐敗臭や白い異物が確認される場合、バクテリアが発生している可能性が高いです。この場合、タンク洗浄を行った後に天日干しを行うことでバクテリアを死滅させることができます。クーラント装置を長時間使用しないと、クーラント液が滞留してバクテリアが大量に発生するリスクがあるため、長期間使用しない場合には前もってタンクを洗浄すると効率的です。日頃のクーラント管理において、状態を適切に把握し、適切な措置を行うことが大切です。
掃除・管理を行わないクーラントは短期間で劣化するケースもありますが、メンテナンスを行うことで、数か月使用しても濃度・pH値のいずれも問題が生じない場合もあります。
クーラント液は人体への影響は少ないとされていますが、「産業廃棄物」に分類されるものなので、適切な処理を行う必要があります。
適切な処理を行わずに下水に流してしまった場合、廃棄物処理法違反に問われる可能性があることも覚えておきましょう。具体的な処理方法ですがイオン交換や活性汚泥法による無害化が挙げられるのですが、これらの手法は毎日大量に消費する環境でなければ、自社で用意するのは非効率的です。
そのため、廃棄物処理専門業者に依頼した方がコストパフォーマンスは高いです。不水溶性クーラントに関しては廃油燃料化装置によって、燃料として使用することもできますが、自己処理が難しいものもありますので、いずれにせよ専門業者に相談することをおすすめします。
機器から発生するスラッジを、ろ過する装置をクーラントろ過装置といいます。使用用途に応じて様々な製品があるので、『目的にあったクーラントろ過装置か』『スラッジの特性にあった装置か』を見極めましょう。