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マシニングセンターなどの金属加工を行う機械では、金属を削ったときに金属チップや金属スクラップなどが発生します。人体に有害な切削油が含まれているものも少なくありません。破片が機械に嚙み込んで機械が停止したり、人が吸い込んでしまったりするリスクがあることから、金属チップはピットに集めて処理されます。金属加工によって発生した金属チップや金属スクラップを処理場まで運ぶコンベアがチップコンベアです。運ぶチップに合わせて、噛み込まずに搬送できるものが必要とされています。
工作物の不要な箇所を削り取り、目的の形状をつくる機械加工。その削り取った切りくずがマシニングセンターの機内に蓄積すると、切りくずの熱によってベッドやテーブル、コラムなどに温度変化を与え、加工精度にも影響します。切りくずを速やかに機外へ排出するための運搬装置として備わっているのがチップコンベアです。切りくずには、切削油剤が付着しています。切りくずと切削油剤を分離させる機能も備わっています。ベルトコンベアのように回転しながらチップを運ぶ仕組みです。
チップコンベアは、金属加工を行うマシニングセンターなどの工作機械から、削り取った切りくずを排出するのが主な使用用途です。
機械加工は、工作物の形を整えるために行われます。そのとき、副産物として必ず発生するのが切りくずです。金属片は自然になくなることはありません。放置すれば溜まる一方です。機械の中に切りくずが溜まっていくと、その切りくずが加工用の刃物に付着して切れ味を悪くします。また、切りくず自体が熱を持ってしまうケースも少なくありません。加工精度が悪くなるだけではなく、人体への悪影響も懸念されます。こうした機械加工が抱えるリスクを軽減するために、切りくずを機械から運び出すことがチップコンベアの目的です。
ヒンジ型は、戦車や戦国時代の鎧のような鋼板を帯状につないだキャタピラ構造のコンベアです。プレートに切りくずだけを載せて搬送することで、クーラントと分離します。鋼板の上に乗せて運ぶ仕組みなので、効率良く運搬できるのがメリットです。一方、粉状の切りくずの場合は、鋼板の隙間に入り込みやすい点に気を付ける必要があります。切りくずが鋼板に張り付きやすいのもデメリットです。
スクレーバ型は、板状の「へら」で切りくずを運搬します。コンベアの底板に溜まった切りくずを板で掻き上げて、切りくずだけを排出する構造。粉状の切りくずに適しています。また、切削油の分離がヒンジ式より優れているのも特徴です。
コイル型とスクリュー型は、巻き上げ方式で切りくずを回収します。コイル型はバネのような構造でコイルの回転によって巻き上げを起こす仕組み。スクリュー型はらせん状の羽根を回転させて巻き上げを起こす仕組みです。細かい切りくずの回収に適している反面、長い切りくずの回収には向いていません。
チップコンベアについて、目的や種類を紹介しました。
チップコンベアの種類によって粉状の切りくずに適したものや長い切りくずを運べるものなど、構造や特性に違いがあります。搬送物の形状や性質、現場の環境などに適したチップコンベアを選ぶことが大切です。
機器から発生するスラッジを、ろ過する装置をクーラントろ過装置といいます。使用用途に応じて様々な製品があるので、『目的にあったクーラントろ過装置か』『スラッジの特性にあった装置か』を見極めましょう。